全日本ロードレース選手権第3戦オートポリス

全日本ロードレース選手権第3戦オートポリス、JSB1000、MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの水野選手、タイヤがコンディションが合わず、22位でチェッカー。

2018 年MFJ 全日本ロードレース選手権第3 戦オートポリス・スーパー
2&4 レース大会(2018 年5 月12・13 日 決勝日 天候:雨 )


 全日本選手権は開幕戦こそ全クラス開催とされたが、第2戦鈴鹿は恒例の2&4スタイル。さらに続く第3戦は場所をオートポリスに移し、そのまま2&4スタイルでの連戦となる。
 しかも第3戦に向けての事前テストは行われず、そのために今季からJSB1000クラスを戦うことになったMuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの水野 涼にとって、1000ccのマシンでオートポリスを走ったことがないため、レースウイークで初めてCBR1000RR SP2でコースを走ることになる。 
 開幕前のテストでは順調な走り出しを見せた水野だが、その後は良いフィーリングでマシンを操ることができず、フラストレーションの溜まるレースを強いられている。チームはその状況を打開できるよう、考え得る対策と部品を用意し、オートポリス入りした。


 事前の準備により、水野本来の走りを徐々に引き出すことができはじめ、初日1本目は11番手だったが、2本目は9番手とポジションを上げることに成功した。それでの両セッションとも、トップから約2秒離
されており、当面の課題はこの差を詰めることにある。
 第1戦、第2戦と一つのレースウイーク中に2レースを戦ってきたJSB1000クラスだが、今回は1レースのみのため、予選は今季初のノックアウト方式とされた。
 Q2に進むためにはQ1セッションでトップ10に入っておかなければならない。水野はトップから1秒5遅れの10番手タイムでQ2へ進出。さらにタイムを上げる上位陣に対し、トップから2秒3遅れではあるが、それでも8番手タイムを出すことに成功した。


 レースウイークに入る前から出ている天気予報は、金曜、土曜と好天に恵まれるが、決勝の日曜日は朝から雨。そして残念ながらこの予報が的中し、早朝から雨が降り出してしまった。特に山間にあるオートポリスの場合、霧というよりは雨を降らしている低気圧の雲がコース上を覆うため、他のコースの霧とは異なり、強風が吹いたり気温が上がったりというコンディションの変化で視界がすぐクリアにはならない。朝9時10分から予定されていた15分間のフリー走行は後ろにずらされ、結果的に4回のタイムスケジュール変更のための改訂版が出されることとなった。


 それでも奇跡的に11時半を過ぎたあたりから視界がクリアになり、11時50分から15分間で予定されたフリー走行をスタートさせることができた。結果的には12時前にまた雲が出てきてしまい、残り4分のところで赤旗中断とされたが、それでもその後、またしても雲が晴れ、15周に減算された決勝のスタート進行を行うことができた。


 フリー走行の時点で路面は完全なウエットだったが、雨が止んだ関係から路面は徐々に乾いていく。しかし雨雲レーダーを見ると、また厚い雲がオートポリスに近付いている。乾いていくことを見越してドライ用タイヤにするのか、またやってくるだろう雨雲を警戒してレイン用タイヤにするのか。グリッド上は慌ただしい状況となった。8番手グリッドの水野の前では、一人のライダーだけがドライ用タイヤを選択し、他のライダーはレイン用。路面が乾きつつあることは理解していた水野だが、選択はレインタイヤだった。


 レースがスタート。まずまずの飛び出しで、水野は1周目を11番手でピット前を通過していく。ここから順位を上げていきたい水野だったが、選んだタイヤがコンディションに合わず、ペースを上げられない。そのため、4周目15位、5周目18位とポジションを下げていく。結局、22位という順位でチェッカーとなった。



本田重樹監督


「このところJSBマシンの難しさを改めて感じている水野。我々は積極的にコースを攻められるようにセッティングを模索したウイークでした。金曜日の走行で方向を見極め、予選では上位10台が参加出来るQ2進出を目標にしました。Q1で12番手近辺に位置した水野に2セット目の新品タイヤを投入し、再度アタックさせて目論み通りQ2進出を決め、8番グリッドを確保しました。決勝では天候に翻弄され、経験値の少ない水野にとっては厳しい状況を強いられました。我々のチョイスしているスリックタイヤはコンパウンドが硬く、ハーフウエットの路面では機能しない事は明白でしたのでレインタイヤをチョイスしましたが、早い段階でタイヤは消耗してしまいました。リザルトは22位と低迷しましたが、難しい状況を完走出来た事が唯一の成果でした。」


堀尾勇治チーフメカニック


鈴鹿8耐に向けてCBR1000RR SP2をもっと自分のモノにできるよう、鈴鹿2&4の事後テストも行い、水野のライディングに合わせられるよういろいろとトライしてみました。今回は事前テストがないため、去年の高橋 巧のデータをベースに、水野のライディングにアジャストして持ち込んだのですが、結果的には本人がリズムを掴むことができ、開幕戦のもてぎ、第2戦鈴鹿ではできなかったことにもチャレンジできるようなレベルになってきました。決勝は難しいコンディションで、チームとしてああいう状況は決して嫌いではないのですが、最終的にタイヤ選択を決めるのはライダーなので、なかなかそこは決めにくかったと思います。とは言え、オートポリスのレースウイークは収穫の多いものとなったので、次のSUGOに向けて大きく進化できたと思います。」


水野 涼


「なかなかフラストレーションの溜まるレースが続いてしまっている中で、チームがいろいろ準備してくれたものがオートポリスではしっかり機能してくれたことから、順位こそここまでの2戦とあまり変わらないのですが、タイム的にはトップとの差が詰まっており、手応えを感じながらのレースウイークとなりました。決勝はとにかく自分の走りがまったくできない状況で、本当に苦しい戦いとなりました。リザルトはまったく納得出来るものではありませんが、マシンは着実に良くなっているので、もっともっと乗りたいという気持ちでいっぱいです。」