2017年 全日本ロードレース選手権 第5戦 オートポリス大会





■ 2017年 全日本ロードレース選手権 第5戦 オートポリス大会

■ JSB1000

■ 開催日:2017年6月25日(日)

■ サーキット名:オートポリス(4.674 km)



最終ラップのバトルを制し今季2度目の3位表彰台の渡辺選手。

今シーズン最高位の4位入賞を地元で獲得した松崎選手。


 梅雨真っただ中のオートポリスの予選は大荒れとなった。深い霧と雨で予定されていた各クラスの予選が相次いでキャンセル。JP250クラスは決勝レースも開催されなかった。そんな中JSB1000クラスの予選だけが敢行されたが、当初のトップ10トライアルではなく35分間の計時予選となった。

 雨脚が強くなったり弱くなったりを繰り返す中、♯23渡辺一馬選手はアタック前の調整段階で出した2分8秒530がベストで7番手を獲得。ホームコースとして10代の頃からオートポリスを走りこんでいる♯46松崎克哉選手は、9番手・2分9秒305と意地を見せ、TeamGREENは、そろって3列目からのスタートとなった。


レポート


 前日の豪雨と霧が残った日曜日の朝。午前9時からJSB1000クラスのウォームアップ走行が行われた。午後からドライコンディションになることを見込んでいた♯23渡辺一馬選手と♯46松崎克哉選手は、15分間をフルに使ってセッティングの確認に費やした。

 決勝のスタートは午後2時。すっかり雨もあがり路面もドライになってきていたが、JSB1000クラスのマシンがコースインするころになると再び空模様が怪しくなり、ポツリポツリと雨が落ち始め、スタート直前に「ウエット宣言」が出された。その後コンディション不良でレースディレイが宣告され、17周の決勝レースは15周に減算。30分遅れでスタートとなった。

 3列目7番手からロケットスタートを決めた♯23渡辺一馬選手は4番手で1コーナーに飛び込む。一方♯46松崎克哉選手は慎重になりすぎたのかオープニングラップを16番手で通過。後方から追い上げの展開となる。ところが3ラップを過ぎたあたりから急に霧が立ち込めてきて、先頭が4ラップ目に差し掛かるあたりで「視界不良」のレッドフラッグが出され、再レースとなってしまった。





 この間にセッティングをわずかに変更した両ライダーは12周に減算された第2レースに臨む。♯23渡辺一馬選手はレース2でも好スタートを見せたがトラフィック(渋滞)に遭い、ポジションどおりの7番手でオープニングラップを通過する。♯46松崎克哉選手は11番手とポジションダウン。慎重になりすぎたのか序盤ではポジション回復できなかったが、レース折り返しの6周目に10位、9周目には♯72高橋選手をかわすと次第にペースアップしはじめる。周回ごとにベストタイムを更新し、残り2ラップとなった11周目には7位まで浮上。このころには前を行く♯23渡辺一馬選手を含む3台のバトルが視界に入ってきていた。そして最終ラップ、その3台が第2ヘアピンでスリーワイドのつばぜり合いの結果、2台がオーバーラン。ついに♯23渡辺一馬選手の後ろにつき、そのままチェッカーとなった。順位は今シーズン最高位の4位だったが、チェッカー後も自分が何位だったのかわからないまま♯46松崎克哉選手は応援してくれたファンに手を振り、ピットに戻ってきてメカニックの笑顔でようやく順位を知った。






 順位がわからなくなるほど夢中でレースしていた♯46松崎克哉選手に対し、♯23渡辺一馬選手はいたって冷静にレースを展開。セカンドグループの後方に位置取り序盤でその先頭に立つと、表彰台圏内を獲得するために粘り強いレースを展開する。7ラップ目に2位走行中の♯634高橋選手がスローダウンして戦線離脱すると、今度は♯50濱原選手、♯9藤田選手とのバトルとなり、そのまま終盤へともつれこんでいく。4位グループの集団を引っ張っていたのは♯23渡辺一馬選手だったが、10周目に♯60マイケル選手が第2ヘアピンで転倒し、3位争いのバトルとなった。雌雄を決したのは最終ラップの第2ヘアピン。レートブレーキングで勝負してきた♯50濱原選手はコースアウトし、♯9藤田選手はレコードラインを外してしまい、軍配は♯23渡辺一馬選手にあがった。結果、今シーズン2回目の表彰台を獲得。その背後でバトルを視野に入れていた♯46松崎克哉選手が今シーズン最高位の4位入賞となった。
 3位の渡辺選手は20ポイントを加算して94ポイント。4位の松崎選手は18ポイントで、合計49ポイントとなった。





渡辺 一馬(3位)のコメント


「今季2回目の表彰台ですが、素直に喜ぶことはできません。一度とった3位ですから次はもっと高いところに行くのがプロの仕事だと自覚しているので、悔しさのほうが強く感じています。とはいえ、十分に戦えるマシンづくりに精いっぱいの叡智を注いでくれたメカニックさんたちには感謝しています。だからこそ結果でお礼をしたかった。最終ラップまでもつれ込んだバトルに関しては、いたって冷静で仕掛けてくる気配を十分わかったうえで、ポジションを譲らないだけの自信はありました。幸いにもオートポリスはもう1戦あるので、後半戦ではもっと前でバトルを制したいですね。」



松崎 克哉(4位)のコメント


「今シーズン初めてレースをしたといってもいいくらいの感覚でした。前も後ろも名だたるライダーばかりで、その中で競い合うことの楽しさをこのレースで体感することができました。スリップについてもなかなかパッシングさせてもらえないことも勉強になったし、どのタイミングでパッシングすべきかも学べました。4位入賞という予想だにしなかった結果まで手中にできて、いいことづくめのオートポリスでした。この結果がまぐれと言われないように、シリーズ後半戦も今回の経験を活かして上位進出を狙います。」



釈迦堂監督のコメント


「ベストリザルトはもちろん優勝なのですが、それでもKawasakiのホームコース・オートポリスで十分な結果をもたらしてくれました。粘りの走りで表彰台にのぼった渡辺選手の冷静なレース運びはさすがですね。ミスしてもおかしくない状況できちんとマシンをコントロールするだけのライディングテクニックとクールさを兼ね備えています。松崎選手は走りこんだオートポリスで並み居る強豪たちを相手にバトルしたのがなによりの収穫。ラップごとにタイムも刻み、最終ラップでは渡辺選手のベストラップを上回ったほど。4位でチェッカーを受けたときは、ピットも大いに沸きあがりました。おかげで前半戦をうれしい形で締めくくることができ、8耐に向けていい準備ができます。ありがとうございました。」



リザルト


Pos. No. Rider Machine
1 1 中須賀 克行 Yamaha YZF-R1
2 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000R
3 23 渡辺 一馬 Kawasaki Ninja ZX-10RR
4 46 松崎 克哉 Kawasaki Ninja ZX-10RR
5 71 加賀山 就臣 Suzuki GSX-R1000
6 94 浦本 修充 Suzuki GSX-R1000
7 9 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
8 72 高橋 裕紀 Honda CBR1000RR
9 88 清成 龍一 Honda CBR1000RR
10 85 中冨 伸一 Yamaha YZF-R1
11 18 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
12 50 濱原 颯道 Suzuki GSX-R1000R
13 080 渥美 心 Honda CBR1000RR
14 60 マイケル・ファン・デル・マーク Yamaha YZF-R1
15 47 上和田 拓海 Yamaha YZF-R1
16 39 酒井 大作 BMW S1000RR
17 34 岡村 光矩 Kawasaki Ninja ZX-10RR
18 62 津田 一磨 Yamaha YZF-R1
19 13 中津原 尚宏 Honda CBR1000RR
20 57 森本 誠一朗 Kawasaki ZX-10R