全日本モトクロス選手権 第3戦



■ 2017年 全日本モトクロス選手権 第3戦 中国大会
■ IA1
■ 開催日:2017年5月21日(日)
■ 会場名:世羅グリーンパーク弘楽園




小方誠がパーフェクトウィン(1位/1位)

新井宏彰もポディアムをゲット(3位/3位)


カワサキチームグリーンにとって、広島で開催される中国大会はホームラウンド。会場のグリーンパーク弘楽園は、連続ジャンプやフープスの追加などの改修を受け、ラップタイムが2分を超えるロングコースになった。週末は快晴に恵まれ、気温も30度近くまで上昇。ハードパック路面には、砂ぼこり対策の撒水が頻繁に行われた。
 ヒート1では中盤から成田亮、新井宏彰、小方誠がトップスリーに定着した。この態勢から終盤になって仕掛けた小方が、8連ジャンプで3個+2個+3個飛び越す切り札を出し、2台を抜いて優勝。ヒザの負傷を押して出場した新井は、成田に次ぐ3位でフィニッシュした。
 ヒート2では、ホールショットの田中雅己をかわした小方が、1周目からリーダーとなり以後独走。新井はオープニング早々の混戦で中団に埋もれたが、我慢の走行を続けて完走。優勝小方、2位山本鯨、3位新井の順でチェッカーを受けた。
小方は2年ぶり2度目となるパーフェクトで、IA1ランキング3位に躍進。4位につける新井ともども、僅差のタイトル争いから目が離せなくなってきた。


レポート


●小方誠の第3戦(IA1/1位/1位)


2年前に初めてピンピンを取った験のいいコースでもあるし、事前テストに来ても乗れていたので、今回は結構いいかもしれないなと思っていました。弘楽園と言えば新井君…との定評が以前からありますが、僕としても勝ったことがあるし、新井君に負けたくない気持ちで取り組んできたんです。でも本当にピンピンを決められるとは…そこまでの自信はありませんでした。
 ヒート1はスタートで上手く出られなくて、6番手ぐらいから途中3番手まで上がったんですけど、そこからはなかなか差が縮まらなくて、後半勝負だなと考えながらプッシュし続けました。成田選手、新井君、そして僕という順だったんですが、あんまりタイムが出なくて一旦離されてしまいました。


 今回はコースレイアウトが変わったので、特にラムソンジャンプの先から世羅の下りあたりまでは、ライン取りを模索していました。アウトとかインとかいろいろ振ってみたんですが速くなくて、割と普通のラインに戻したら速くなったんです。前にいる新井君を観察しながら、いいところを見つけてペースが上がった感じでした。新井君は普段から上手だし、ケガをしていても速かったですよ。
 徐々に2人に追い着いて、終盤になってトップに立てたんですが、勝負したポイントは8連ジャンプでした。新井君も成田選手も2個ずつ飛んでいたところを、僕は3-2-3でクリアできたのでそれがアドバンテージになりました。3個飛ぶのは昨日の公式練習の終了間際に初めてトライして、予選では3-2-3に成功しました。






トマックだったら、4-4で行けると思うんですけど、僕らにとっては3-2-3でも最初は躊躇しました。そんなに難しくはないんですが、何かあって失敗するとそこで失うものが大きいというか、リスクがあったことは確かです。他にも星野優位選手、山本選手、IAルーキーの大石選手も、3-2-3で飛んでいました。
 8連ジャンプとフープスは、事前テストのときはなかったので、みんなレース本番で初めて見るセクションでした。弘楽園はカワサキの地元と言われますが、新レイアウトについては他のライダーと同じで、特に僕が有利だったわけではありません。それ以外にも僕が得意としていたのはフープスで、土曜朝イチの公式練習では他のライダーよりも2秒速かったんです。ところが決勝では左側に低いラインが1本できて、差が出なくなってしまいました。


 ヒート2はスタートが上手く決まって、1周目に田中選手を抜いてトップに立ちました。そこからは自分の走りを貫いてリードを広げることができたので、理想のレース展開になりました。ひとつ勝てたことで自信がついたし、ヒート2も取りたいという気持ちが強くなったんですが、広島での練習に付き合ってくれたメカニックの園田さんを見ながら、「これは練習なんだぞ」と言い聞かせながら走っていました。
 ピンピンを確信したのはラスト2周あたり。最高です。これ以上の気分は、たぶんチャンピオンしかありませんね。ずっとチャンピオンを目指してやってきたんですが、開幕戦がだめだったので蚊帳の外でした。でも、これでようやくタイトル争いに加わることができたかな。そんな気がしています。









●新井宏彰の第3戦(IA1/3位/3位)


レースの1週間前に、練習で左ヒザを捻って靱帯にダメージがあったので、今回は苦しいレースになるだろうと予想していました。コケてはいません。コーナーで振られて足を付いたときに捻っただけなんですが、痛みもあったので以後ずっと練習を休んでいました。直前に1回乗った程度でしたが、ケガするまではとても乗れていたので、そこからケガの分だけマイナスしたような感じでしょうか。
 ヒート1はスタートがまあまあ決まったんですが、目の前に成田選手がいても、痛くて攻められませんでした。行きたいところに行けないんです。ブレーキング、バランス、踏ん張り、すべての面で押さえが利かなくて、理想的なラインに入れませんでした。


 10〜15分すぎあたりから痛みに慣れてきたというか、アドレナリンが出てきたのか、痛みがマヒしたような感覚になって結構走れたんですが、厳しいレースでしたね。ヒート1の終盤になると痛みが再発してきたので、表彰台の階段を上がるのがやっとでした。
 ヒート2に備えてアイシングやテーピングをしてもらったのですが、走り出したら痛くなったので考えを切り替えました。ポイントを取りに行こうと。スタートは3〜4番だったと思います。でもラムソンの先の右コーナーで誰かと接触し、もたもたしているうちに10番手ぐらいまで脱落。前の方で転倒があったりして、ポジションが回復しました。






終盤、星野裕選手が視界に入ってきた頃からスパートしてファーステストラップを出しました。以前の弘楽園では、得意の「アライン」を持っていましたが、新しいレイアウトは僕のスタイルとは違う感じで、まだ馴染めません。アウトバンクを多用するライダーに向いていると思います。
 フープスと8連ジャンプは難しかったですね。小方が3-2-3で飛ぶのを見てチャレンジしたかったんですが、リスクを考えるとできませんでした。小方はチャレンジして成功したから、今回の優勝につながったけれど、僕は2-2-2-2で無難に飛ぶしかできなかった。1秒半〜2秒遅かったですね。
 今回は小方が完全優勝だったので、チームとしては非常にうれしいリザルトでした。もちろん自分がピンピン取るのが一番ですが、ヒザがこんな状態で3位/3位は上出来。客観的にシーズンを俯瞰してみると、あとあと効いてくるかもしれません。




リザルト


IA1 Race1

Pos. No. Rider Machine
1 10 小方 誠 Kawasaki KX450F-SR
2 1 成田 亮 Honda CRF450RW
3 331 新井 宏彰 Kawasaki KX450F-SR
4 400 山本 鯨 Honda CRF450RW
5 7 深谷 広一 Suzuki RM-Z450WS
6 8 星野 裕 Kawasaki KX450F
7 166 星野 優位 KTM 450SF-X
8 99 平田 優 Yamaha YZ450FM
9 448 伊藤 正憲 Yamaha YZ450F
10 45 大塚 豪太 Honda CRF450R
11 117 馬場 大貴 Honda CRF450R
12 19 長門 健一 Honda CRF450R
13 15 鈴木 正明 Suzuki RM-Z450
14 72 村上 洸太 Honda CRF450R
15 04 大石 一斗 Kawasaki KX450F
16 20 白石 翔也 Yamaha YZ450F
17 21 中村 泰介 Yamaha YZ450FX


IA1 Race2

Pos. No. Rider Machine
1 10 小方 誠 Kawasaki KX450F-SR
2 400 山本 鯨 Honda CRF450RW
3 331 新井 宏彰 Kawasaki KX450F-SR
4 8 星野 裕 Kawasaki KX450F
5 1 成田 亮 Honda CRF450RW
6 166 星野 優位 KTM 450SF-X
7 99 平田 優 Yamaha YZ450FM
8 45 大塚 豪太 Honda CRF450R
9 117 馬場 大貴 Honda CRF450R
10 19 長門 健一 Honda CRF450R
11 15 鈴木 正明 Suzuki RM-Z450
12 04 大石 一斗 Kawasaki KX450F
13 20 白石 翔也 Yamaha YZ450F
14 21 中村 泰介 Yamaha YZ450FX


IA2 Race1

Pos. No. Rider Machine
1 888 勝谷 武史 Honda CRF250RW
2 922 古賀 太基 Honda CRF250R
3 30 岡野 聖 Yamaha YZ250F
4 02 大城 魁之輔 Honda CRF250R
5 37 植田 翔太 Kawasaki KX250F
6 38 池本 凌汰 Suzuki RM-Z250
7 42 北原 岳哲 Kawasaki KX250F
8 40 道脇 右京 Honda CRF250R
9 17 安原 志 Kawasaki KX250F
10 39 森 優介 Honda CRF250R
11 777 ハドリー・ナイト KTM 250SX-F
12 08 下村 里駆 Honda CRF250R
13 35 横澤 拓夢 Honda CRF250R
14 31 渡辺 祐介 Yamaha YZ250FM
15 62 浅井 亮太 Yamaha YZ250F
16 49 馬場 亮太 Suzuki RM-Z250
17 57 大木 汰一 Kawasaki KX250F
18 51 笠原 氷河 Yamaha YZ250F
19 52 平山 力 Kawasaki KX250F
20 60 高原 秋斗 Suzuki RM-Z250


IA2 Race2

Pos. No. Rider Machine
1 888 勝谷 武史 Honda CRF250RW
2 922 古賀 太基 Honda CRF250R
3 30 岡野 聖 Yamaha YZ250F
4 31 渡辺 祐介 Yamaha YZ250FM
5 38 池本 凌汰 Suzuki RM-Z250
6 40 道脇 右京 Honda CRF250R
7 777 ハドリー・ナイト KTM 250SX-F
8 17 安原 志 Kawasaki KX250F
9 35 横澤 拓夢 Honda CRF250R
10 42 北原 岳哲 Kawasaki KX250F
11 60 高原 秋斗 Suzuki RM-Z250
12 49 馬場 亮太 Suzuki RM-Z250
13 43 内田 篤基 Suzuki RM-Z250
14 37 植田 翔太 Kawasaki KX250F
15 56 菅谷 峻介 Kawasaki KX250F
16 39 森 優介 Honda CRF250R
17 377 渡辺 涼太 Kawasaki KX250F
18 08 下村 里駆 Honda CRF250R
19 02 大城 魁之輔 Honda CRF250R
20 62 浅井 亮太 Yamaha YZ250F