2019 AUTOBACS SUPER GT ROUND 2 富士スピードウェイ#30レースレポート

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開催地:富士スピードウェイ静岡県)/4.563km

5月3日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:35,800人

5月4日(決勝)天候:雨のち曇り コースコンディション:ウェット~ドライ観客数:56,000人


漢気を見せたタイヤ選択で最後尾まで落ちるもしっかり追い上げ21位完走果たす
熱戦続くスーパーGT シリーズ第2戦の舞台は、富士スピードウェイゴールデンウィークの恒例レースである、「FUJI GT 500km RACE」としての開催となった。今年もapr は引き続き2 台体制で挑むが、マシンをTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)にスイッチ。規定の変更と合わせ、駆動方式をミッドシップからFR に改め、さらにレクサスRC F GT3 にも使用される5.4ℓのV8 エンジン、2UR-G を新たに搭載することとなった。 カラーリングをイエローベースに改め、大幅に印象を一新した「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」をドライブするのは、引き続き永井宏明選手と織戸学選手。タイヤもヨコハマが継続して使用される。今回は500kmレースとあって、第3ドライバーに小高一斗選手を起用。今回がスーパーGTとなる若武者は、昨年までFIA-F4を戦い、今年F3にもステップアップ、トヨタ期待の新星だ。 岡山国際サーキットでの開幕戦はトラブルに見舞われ、復帰は果たせたものの、完走扱いにならず。だが、規定周回に満たなかったため、ハーフポイントになっているからトップとの差は、わずか10ポイントと考えることもできる。今後の活躍いかんで、いくらでも取り戻せる差に過ぎない。 今回の舞台、富士スピードウェイは高速コースとして知られるが、近頃はストレートの速さが絶対ではなく、コーナーでの速さも重視されるようになってきた。空力に優れることは自慢の一つであるだけに、まずは今季初入賞の期待が込められることとなった。

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公式練習 5月3日(金・祝)8:50~10:25

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令和最初のレースは、ゴールデンウィークの開催ということもあって、初日から35,800人もの観衆が見守る中でのスタートとなった。青空が広がり、くっきり富士山も見える、まさに絶好のレース日和。公式練習の開始時の気温は20度、路面温度は29 度と、これまた最高のコンディションになっていた。 今回、最初に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」のステアリングを握ったのは永井選手。 開始とともにコースインし、コンディションチェックを行って、すぐピットに。最初のセットアップを行なった後、周回を重ねて永井選手はまず1 分39 秒456 をマークする。 ほぼ1時間を経過したところで永井選手が再びドライブするが、その間ピットに戻ったのは1回のみ。いかにセットアップが順調に進んでいるかの証とも言えよう。織戸選手のベストタイムは1分30秒406。GT300 単独のセッションは、いよいよ小高選手の走行に。徐々にタイムを上げていって、最後は1分39秒113にまで到達。セクター1の区間タイムでは永井選手や織戸選手をも上回った。 続いて行われたサーキットサファリで、再び織戸選手が乗り込み、最終チェックを行うとともに、最後はまた小高選手が。ここでGT500との混走も初めて経験することとなった。

 

公式予選Q1 5月3日(金・祝)14:30~14:45

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予選もコンディションに恵まれ、気温は22度、路面温度は36度と、公式練習終盤とほぼ同じ状態になっていた。今回もQ1 担当は織戸選手。計測開始と同時に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はピットを離れていく。アウトラップに加え、2周をウォームアップに当てた後、織戸選手はアタックを行い、1分37秒744をマーク。 しかし、次の周はタイムを落としたことから、残り3分間の時点でピットに戻ってくる。果たしてQ1突破なるか……。しかし、あとコンマ3秒及ばず。「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は20番手から決勝に挑むこととなった。しかし、今回は500kmの長丁場。ここからどこまで順位を上げてくるか注目された。

 

永井 宏明選手

あと一息でQ1突破でした。今回から、ブレーキの効きもよくなりセットも少しは進みました。決勝に向けては、まだ課題は多いですがJAF 車両を開発し速くする過程は、ドライバーにとってもたくさん勉強ができるので楽しいです。次戦の鈴鹿はホームコースなので、ここで是非Q1 突破を果たせるように、明日の決勝前まで速くするためのマシンセットをTRY したいです。

 
織戸 学選手

僅差でQ1 突破できず、悔しいです。もう少し曲がるセットを入れればよかったです。ヨコハマタイヤも全然余裕があったので勿体ない予選でした。やっとセットらしいセットができ、タイヤもマッチングし始めたので今後が楽しみです。明日は長いレースなので、TEAM 全員で入賞を狙いたいと思います。

 

金曽 裕人監督

まず小高選手を起用したのは、若い子にチャンスを与えよう、モータースポーツの裾野を広げようと永井選手の寛大な気持ちからです。Q1もあとちょっとでした。マイレージは稼いでいるクルマだし、引き出しは多いので。本当にもうちょっとだったので残念。我々エンジニアのセットが間に合っていませんでした。まだまだクルマはやらなきゃいけないところがあるのが、予選で分かりました。 とはいえ、クルマがしっかり止まるようになってきたし、進むべき方向性は見えてきたので、決勝はご期待ください。

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決勝レース(110周) 5月4日(土・祝)14:30~

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予選で見出せた方向性から、セットを大幅に改めて走行した20分間のウォームアップ走行では、最初に走行した織戸選手が1分38秒060をマークして、セッションのトップに! 後半を担当した永井選手も1分40秒815をマークして、手ごたえは上々。決勝レースでのジャンプアップに期待がかかった。 ただ、その一方で気になるのは天候だった。ウォームアップ走行の始まる前には、最終コーナーの向こうの黒い雲から雷鳴が響いていたのだ。サーキット上空も灰色の雲が覆い……。グリッドに並べられて間もなく、雨がついに振り始める。ただし、その頃はまだ小降りだったことから、「スリックでいけるかな?」とスタートを担当する織戸選手。その判断により、唯一ドライタイヤでスタートを切ることとなった。

 

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レースウィーク最初のウェットコンディションとあって、セーフティカースタートでの開始が決定。だが、皮肉なことにその間に雨は一気に勢いを増す。2周の先導後、セーフティカーがピットに戻ると同時に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」もピットに駆け込み、ウェットタイヤに改めることに……。これで最後尾に交代するも、織戸選手は諦めることなく周回を重ねていく。 そんな中、雨足はさらに強まったことから、12周目から再びセーフティカーが入り、15周目を終えたところで赤旗が出されてレースは中断。この間に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は、すでにトップから1周遅れとなっていたため、完全に勝負権は失われた。 約30分後にレースは再開。もはや順位を上げるには、ライバルの脱落を待つしかない。が、その中でも32 周目に早々と永井選手と交代し、ウェットタイヤに改めるなど積極的な姿勢も見せたが、これもまた裏目に出てしまう。すでに雨はやんでいて、予想以上に路面の乾きが早かったためだ。もし、雨が再び降り出してきたら、展開にも変化が生じただろう。やむなく41周目にドライタイヤに交換し、そのまま永井選手をコースに戻すことに。そんな状況において永井選手は、ひたすらコンスタントに周回を重ねていた。 そして68周目に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は、4回目のピットストップを行うことに。ステアリングを握ったのは小高選手。決勝デビューの時を迎えることに。終盤には1分39秒台で走り続け、非凡な才能をアピールした。その結果、ライバルの脱落やペナルティによって、21位完走を果たし、貴重なチームランキングの1ポイントを獲得することとなった。 シリーズ第3戦は5月25~26日に、鈴鹿サーキットで開催される。秘めたる可能性を大いに見せた第2戦の、リベンジが大いに期待される。

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永井 宏明選手 

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雨のタイミングが全てでした。それに翻弄される結果となりましたが、色々なシチュエーションで「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」と走ることが出来て、足りない部分も分かりました。長距離レースもマシントラブルは一切ないので、セットアップを煮詰めれば上位と遜色なく戦えそうです。次戦の鈴鹿は、地元ファンの皆様の前で入賞を果たしたいです。新車開発、まだまだ進化過程のPHV ですが、今後とも温かいご声援の程、宜しくお願いいたします。

 

織戸 学選手

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雨がやみスリックで走れたら独り勝ちでしたが、そんなに都合よくなかったです。。。マシンバランスは決勝前の20 分ウォームアップ走行時に大幅にセット変更したらポンとTOP タイムが出ました。 すごく乗りやすくなり、このマシンと初めてシンクロできました。それもあって、自分だけスリックを選択。。。すみません。。。 セットアップの方向性は、かなりこのレースで見えてきました。今までで一番の収穫でした。この流れで次戦の鈴鹿を戦えればきっと結果はついてきそうです。早い時期に、皆様のご期待に答えられるよう全力を尽くしますので応援よろしくお願いいたします。

 

小高 一斗選手

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まずは、今回スーパーGTapr 様からデビュー出来た事に感謝いたします。 今回僕が担当しのは最後のスティントだったのでしっかりとゴールを目指して走りました。 決勝のペースも、凄くいいタイムで走ることができました。レース結果は先の読めない天候により良いとは言えませんでしたが、内容も濃く次に繋がるレースが出来ました。8 月のRd,5 富士も#30 号車で参戦するので凄く楽しみです。皆様、応援宜しくお願いいたします。

 

金曽 裕人監督 

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予選でも手応えを見出せましたが、20分間のウォームアップ走行で、さらにもう1段行けることが確認できました。決勝では何かスケベ心出そうと思っていたところ、ドリフトといえば織戸選手、マシンコントロールの天才が「スリック行けるかな?」と言ったので、「行ってみよう」と。結果的に雨が強くなってしまいましたが、1%でもチャンスあれば、1%に賭ける方が! 上位陣は絶対やらないでしょうから、実は僕もやってみたかった。けど、そんなにうまい話は無かったというだけです。その後、永井選手も39 秒台が出て、小高選手はずっと39 秒台で走り続けて、クルマの根幹が僕の中で分かり、ひらめきました。次の富士500 マイルでも同じ布陣で戦う予定ですので今回の判断ミスに対してリベンジ。次戦は「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」のホームコース。全力を尽くし、Q1突破と入賞を皆様にお届けしたいと思います。