2020SGT Rd,8富士大会 #30 レースレポート

2020 AUTOBACS SUPER GT ROUND 8 富士スピードウェイ

開催地:富士スピードウェイ静岡県)/4.563km
11 月28 日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:未発表
11 月29 日(決勝)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:未発表

3戦連続Q2進出成功。あと一歩で入賞ならずも、来季に期待をつなげた最終戦


激動のシーズンも、いよいよ終わりの時を迎えたスーパーGT。シリーズ第8戦「たかのこのホテルFUJI GT300km RACE」が、富士スピードウェイで開催された。今年もapr は従来どおり2台体制で挑み、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は永井宏明選手と織戸学選手がドライブ。

タイヤも信頼のヨコハマを使用する。

FR に改められて2年目を迎えたマシンは、このオフに徹底的に見直しをはかり、さらに一戦ごと改良を加え続けたことで、確実に進化がはかられている。

前回のもてぎでは、予選14 番手からポジションを上げ、ついに10 位入賞を果たすまでとなった。

ただ、タラレバが許されるのならセーフティカー(SC)が入らなければ、あるいは路面温度が上がりすぎなかったら、より好結果が得られただろうから、むしろ悔やまれるレースとも言えた。

もっとも、そんなふうに思えるのはポイントを獲得できたからだ。最終戦とあって、全車ノーハンデのレースだからこそ前回の結果に満足せず、さらに上の順位が望まれる。

 

公式練習 11月28日(土)9:00~10:35

例年であれば、富士のスーパーGT は暑い時期に行われ、寒い時期はせいぜい開幕前のテストぐらい。それも温度が後に上がることを見越してのテストだけに、極めてデータの少ない状態でのレースとなった。もっとも、こと土曜日の日中は震えるほどではなく、公式練習の開始時の気温は14 度、路面温度は16度と、もう11月も下旬ということを思えば、むしろ高めではあった。

今回も最初に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」に乗り込んだのは織戸選手。

さっそく周回が重ねられていく中、1分37秒212をマーク。これが公式練習のベストタイムとなった。

その後、ピットに入って微調整が行われてから、早くも永井選手の走行が始まる。途中2回のピットを挟んで、約50分間走行。しっかりマイレージを稼ぎ、最後には1分38秒828を記すまでとなっていた。

そこからは再び織戸選手が走行。すでに決勝想定のセットに改められていたが、最後のGT300 単独の時間帯では1分38 秒370 を記録するまでとなっていた。

公式練習の順位は22 番手だった。その後、15分間でFCY(フルコースイエロー )のテストが実施され引き続き織戸選手が走って、FCY は2回試され、最後にフリー状態になった時は1分38 秒582 が記されていた。

 

公式予選Q1 11月28日(土)13:15~13:25

今回のQ1 で「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はA グループを走り、今回も担当したのは織戸選手。気温は13 度、路面温度は17 度と公式練習とほとんど変わらず。

もちろんウォームアップは入念に行って、計測4周目から織戸選手はアタックを開始する。

まずは1分36 秒316 をマークして、その時点での2 番手につけた織戸選手は、さらにもう1周アタックをかけて、1分36 秒466 にまで短縮に成功! 5 番手につけて、3 戦連続のQ1 突破を果たすこととなった。

 

公式予選Q2 11 月7 日(土)14:08~14:18

3戦連続のQ2とあって、もはや永井選手にプレッシャーの様子はなさそう。

やはりウォームアップはしっかり行い、徐々にタイムを上げていく。そして4周目からアタックを開始。

自己ベストを大幅に上回る1 分37 秒179 をマークした後、織戸選手からのインフォメーションでもう1周行けることが明らかになっていただけに、さらにコースを攻め込んでいったのだが……。

だが、その最中に四輪脱輪があり、どうあれ当該タイムが採用されないことは明らかだったため、永井選手はタイヤ温存も兼ねて、途中でアタックを終了。本領発揮ならなかったのは残念ながら、そこまでアグレッシブに走ってくれたことを、スタッフは大絶賛。

その結果、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は、決勝レースを14 番手からスタートすることとなった。

 

永井 宏明選手


午前中の公式練習まではセットが決まらずクルマが大変なことになっていたんですが、予選までにバランスが取れたので、フルアタックができる状態になりました。
ただ、最後のアタックで四脱してしまって、タイヤのピークを使えなかったのが残念だったんですけど、クルマ的には期待できる速さがあるので、入賞目指します。

 
織戸 学選手

午前中はセットに悩み、どん底だったんですが、予選に向けてだいぶいい感じにクルマも仕上がったので、素晴らしい予選だったと思います。
いったんセットを全部見直して、持ち込みで触っちゃったところもシンプルに戻したことが結果に繋がりました。
セットアップは満足レベルですので、決勝に期待!

 

金曽 裕人監督

どんどんセットアップが速さに繋がる方向に行って予選のバランスは良好でした。
永井選手もかなり悔やんでいましたが四脱がなければ、もっと予選上位に行けるパフォーマンスでした。
明日の決勝ではJAF車両の不利な部分を補うためにもタイヤ無交換も考えていますが、どうあれ確実に走り切ればマシンのパフォーマンスは悪くないので、入賞圏内は行きたいと思っています。
最後はSC とかに翻弄されない気持ちよいレースがしたいですね。

 

 

決勝レース(66 周) 11 月29 日(日)13:00~

日曜日の富士は、上空に雲がかかって日差しが抑えられたこともあり、気温は一気に下がって9 度と、ついに10 度を切るまでに。路面温度は17 度と土曜日とそう変わっていないが、これから下がり続ける可能性もある。
タイヤに影響を及ぼさないことを祈るばかりだ。

決勝前20 分間のウォームアップには今回もスタートを担当する、永井選手から走行を開始し、いったんアウト~インを行って微調整された後、4周を走って1 分38 秒493 をマーク。

残り5 分を織戸選手が走り、1 分38 秒435 を記録したところでチェッカーが振られることとなった。

低い温度に対応できるよう、あらかじめフォーメイションラップは2周と決められていたが、GT500 の隊列が整っていなかったこともあり、さらに1周を追加。決勝は逆に1周減算とされた。

全車クリーンスタートが切られ、オープニングラップでふたつ順位を落とした「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」ではあったが、永井選手のリカバリーも素晴らしく、4周目に1 台をパス。

今回のレースは序盤がやや荒れ気味で、トラブルやペナルティで順位を落とす車両が相次いだことから、8周目には12 番手にまで上がっていた。

連続周回ミニマムの18 周目を過ぎると、続々とピットに入ってくる車両が。ここ2 戦、セーフティカーが導入された後にドライバー交代を行なうと勝負権は失われるから、それを警戒してのことだろう。

だが、すぐ入ってきたのは、いずれもFIA-GT3 勢。燃料タンクの容量に制約のあるJAF-GT 勢は、ガス欠の恐れがあるため、早く入ろうにも入れないのだ。

しかし、セーフティカーが導入されるようなアクシデントは発生せず。「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は予定どおり、JAF 勢では最短の22 周目に永井選手から織戸選手に交代する。

当初は無交換も検討されていたが、無線で永井選手がタイヤはもう厳しいと伝えてきたことから、4 本ともに交換されることに。そして、全車ドライバー交代を終え、レースが落ち着きを見せると「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は17 番手に。やはり給油とタイヤ交換のロスが響いていた。

しかも前後を走るのは、いずれもFIA-GT3 勢ばかり。前からはストレートで離され、後ろからはストレートで迫られる厳しい展開を強いられていた織戸選手ではあったが、そこは意地で最後は13 番手までポジションを上げた。

前回は入賞を果たしているだけに、もはや完走や、まして13 位という結果には、永井選手も織戸選手も満足できなかった。だが、同じ富士で開幕を迎えた頃とは、明らかに走る場所も、見える場所も変わっていた。

3 シーズン目を迎える「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は、来シーズンきっと飛躍する。

そう感じさせてシリーズは幕を閉じた。

 

永井 宏明選手 

路面温度が変化したことから決勝途中からタイヤがグリップダウンし、ピットに入れるギリギリまでの周回をドライビングで何とか耐えてました。そのロスタイムがちょっと残念でしたし、タイヤ無交換はまず無理な状況でした。
今年は、テスト機会が少なく色々と苦戦しましたがレースウィークに進歩したことも多く、来年はもっと速い位置からスタートできるはずです。しっかりオフに準備して新しいシーズンに臨みます。

 

織戸 学選手

終戦の路面状況とマシンバランスについて、いろいろな課題が見えたレースでした。シングルフィニッシュを狙えるパフォーマンスはあったのに、13 位だったのは本当に悔しい。だけど最終戦、みんなノーウェイトのレースで、ここまでの速さが証明されたからには、来年は更にクルマを仕上げて大暴れしたいです。ご期待ください。

 

金曽 裕人監督 

結果オーライの最終戦でしたが、無交換作戦をやりたかったという心残りもありました。どうしても一抹の不安があるし、バックデータもないし、実際タイヤも厳しい状況だったので、ならば4 本交換しようよと、消極的にならざるを得なかった。JAF-GT は燃料タンクの容量というレギュレーションの関係で、給油時間がかかることもあって、それに加えタイヤ交換したら上位は狙えず確実に終わり。そのことから最終戦だから捨て身でも狙いたかった。

ただ、尻上がりでシリーズを終えられたので、満足はしております。オフシーズン、さらに改良を加えますので、来年も期待していてください!