全日本ロードレース選手権 第9戦 MFJ GP




全日本ロードレース選手権 第9戦 MFJ GP
■ JSB1000
■ 開催日:2017年11月5日(日)
■ サーキット名:鈴鹿サーキット(5.821 km)




#23渡辺一馬選手がレース2で3位表彰台、ポイントランキング3位を獲得!
#87柳川明選手がスポット参戦。#46松粼克哉選手はポイントランキング15位で今シーズンを終える。



 シリーズを締めくくるレースは鈴鹿サーキットでの開催となる。 開幕に続き今シーズン2度目の鈴鹿サーキットは、10月の台風22号により、ヘアピンコーナーから先、MCシケインの土手部分が、コース際から観客通路までおおきく土砂崩れを起こした。これによりフルコース開催が危ぶまれたが、復旧工事が順調に進み、開催ウィークの水曜日にフルコース開催の通達があり、予定通り木曜日からのスポーツ走行が可能となり、関係者は安堵した。


レポート


 最終戦JSBクラスは8周のレース1と、20周のレース2の2レース開催になり、シーズンエンドを華々しく飾る。Kawasaki Team GREENは#23渡辺一馬選手、#46松粼克哉選手にくわえ、#87柳川明選手がスポット参戦となり、ピットはTカーを含めると6台のバイクが並ぶ賑やかな雰囲気となった。
 #23渡辺一馬選手はシリーズ獲得ポイント144でランキング3位、チャンピオンの可能性もあるポジションで最終戦を迎えた。#46松粼克哉選手はランキング12位(73pt)で、目標のトップ10に食い込むのが課題だ。今シーズン2度目の全日本参戦となる#87 柳川明選手は鈴鹿JSBクラスのマシンに乗るのは昨年の開幕戦鈴鹿以来、約一年半ぶり。それぞれ最終戦にむけてコンディションを整えての鈴鹿入り。最終戦は木曜日からスポーツ走行が行われ、決勝に向けてのマシンセットを進めた。
 予選はノックアウト方式、30分間のQ1でレース2のグリッドが決定し、そのうちトップ10の選手は15分間のQ2に進み、その順位でレース1のグリッドを決める方式が取られた。トップは5秒台、2位から7位までが6秒台というハイレベルな戦いとなったQ1。#23渡辺一馬選手は早々のアタックで目標であった2分06秒台を出し、レース2の3番手グリッドを獲得、Q2に進みさらにアタックを重ね、一度は2番時計に数字を並べるが、最終的には自己ベストを更新して2分6秒081で3番手グリッドに落ち着き、レース1、レース2ともにフロントローからのスタートとなった。#46松粼克哉選手は木曜日からのマシンセットに苦戦したが、体制を立て直して予選アタック、自己ベストの2分9秒780で20番手グリッド。#87柳川明選手は新型と17インチのコンビネーションでのセットをいちから作り上げるなど忙しいウィークになったが、2分8秒561で14番手グリッドに食い込んだ。。








 決勝、8ラップで行われる予定だったレース1は、スタート直前のウォームアップラップでコース上に止まってしまったマシンのためスタートディレイになり、周回数は1周減算され7周の超々スプリントレースとなった。
 トップ集団は#1チャンピオン中須賀が頭一つ出た形で#634高橋、#23渡辺一馬、#5野左根、#71加賀山、#9藤田と続き、接近戦で激しく順位が変動する緊迫した展開となる。渡辺選手は立ち上がりにフラストレーションを感じながら3-4-5-4-3位と順位を入れ替え、迎えた最終ラップ、シケインで前をいく高橋が仕掛け、野左根がアウトにはらんだ隙をついて前へ出ようとするもわずかにとどかず渡辺は4位でフィニッシュ。
レース1の結果を踏まえ、マシンの仕様を変更して挑んだ20ラップのレース2。#634高橋を先頭にレース1と同じ顔触れのトップグループで渡辺は4番手ポジション。お互いの距離を保ちながらハイペースで後続をどんどん引き離していく。レースは膠着状態のまま後半にはいり、加賀山が徐々に脱落、トップが中須賀に入れ替わったところで集団は動きだし、渡辺は16ラップ目に3位に、17ラップ目には2位にポジションアップ。渡辺の背後に迫っていた野左根が転倒、中須賀、渡辺、高橋、藤田の順で迎えた最終ラップ、渡辺は高橋に逆バンクの立ち上がりで抜かれてしまうも、後ろにぴったりとついて最終のシケインでの勝負に賭けていたのだが、レコードライン上にいた周回遅れに進路を阻まれてしまい、惜しくも3位でチェッカーを受けた。獲得ポイントは188、ランキング3位と3位表彰台で今シーズンを締めくくった。









 #46松粼克哉選手は鈴鹿の経験の浅さが露呈する形となった。レース1は未経験の超スプリントということもあり、柳川の集団の後ろ、14番手の集団についてはいたものの、短い周回数ではなにも仕掛けることが出来ないまま19位で終える。レース2は奮起し、スタートを決めて柳川の集団の後方に付き6ラップ目には9秒55の自己ベストタイムを更新。レース中盤までは10 秒台で集団に食らいついていたが、集団から徐々に離されて単独走行となり16位でレースを終えた。ポイントランキングは15位。
 新型での鈴鹿初レースとなる#87柳川明選手、朝のウォームアップ走行から感じていた不具合がレース1に大きく影響した。スタート直後から車両に違和感を感じた柳川は挙動を抑えながら6台による8位〜13位集団での争い。3ラップ目には11位にポジションアップし、ラストラップで前をいくライダーに仕掛けたが惜しくも2コーナーで転倒してしまう、素早くバイクを起こしてコースに復帰、かろうじて27位でチェッカーを受ける。レース2ではTカーに乗り換えた柳川、激しいポジション争いにより、オープニングラップを17位で戻ってくるが、翌周には14位、前を攻略し6ラップ目で12位まで取り戻す。中盤以降はタイヤも厳しくなってきたが、前後と距離を保ったまま9秒台で周回。ラストラップに#71加賀山をとらえて11位でチェッカー!




渡辺 一馬のコメント

 「レース1は、前のライダーを抜くことが出来ず凄く悔しかった。もっと速く走れると思っていたし、前に出られればもっとペースを上げられる自信があったけどそれができなくてすごく悔しいレースになってしまったので、レース2に向けてもう少し抜けるセッティングに変更しました。それがいい方向に働いてくれて、レース終盤までトップ争いができ、レース1より前のポジションである3位でフィニッシュし表彰台に上ることが出来ました。
 Kawasaki Team GREENに入り、初レースが開幕の鈴鹿で5位にはじまり、最後のレースで表彰台を自分の手で勝ちとれたということはすごく意義があることだと思いますし、自分を成長させてくれたチームにはほんとに感謝しています。僕の細かい要望にも応えてくれて、みんなでこの結果を得たのだと思います。それでも勝てなかったということを受け止めつつ、でも自分たちは進化出来たということに自信をもって、オフシーズンの間も来季に向けて進んでいきます!」




柳川 明のコメント

 「レース1のスタート直後からマシンに不具合を感じていました。周回数が短いので、なんとかカバーしながら走行していたのですが、10位まで行けるかと思った最終ラップに2コーナーで転倒していまいました。マシントラブルに関しては、レース2までには直りそうにはなかったので、レース2はTカーのほうに乗り換えたのですが、こちらも朝のウォームアップ走行で不調だったので、万全とはいえないレース運びでした。オープニングラップで伊藤真一さんと何度もぶつかってしまって、その際にヘアピンで大きくに膨らんでコースアウトしかけ、順位をおとしてしまい、追い上げて2台と対峙してからはタイムも戻せたんだけど、あまり長持ちするタイヤではなかったので、中盤からはドリフト大会になってしいましたね。後ろから誰かがくるんじゃないかと思い、前とは距離があったのですがペースを落とさず走行していたらユキオくんが落ちてきたので11位に。正直もうちょっと速く走りたかったし、前で勝負をしたかったのだけど、新型×17インチのタイヤで初めての鈴鹿というコンビネーションでは、今の全日本をスポットで戦うのにはバイクも気持ちにも無理があったと思います。ですが、初日が10秒2日目が9秒、予選8秒で決勝が7秒でしょ?明日は6秒に入るんじゃないかと思って(笑)できるものなら明日レースがしたい!
 Kawasaki Team GREENでは14シーズンと長きにわたってレース活動をし、怪我もしましたがいつの時代も自分の出来ることは精いっぱいやらせてもらって悔いはないです。これだけ応援してくれる人が多かったのでもっと成績で応えたかったんですけどね。長い間声援を送ってもらい、ありがとうございました!」




松崎 克哉のコメント

 「レース1は自分のペースは保っていたのですが、周りとリズムが違って勝負もなかなかできないうちに終わってしまいました。レース2はスタートも順当に出て、柳川選手と同じ集団の後方につけていたのですが、9秒〜10秒くらいのペースで前についていくのに必死でした。無理してタイヤを使ってしまって後半タイヤが滑りだしてからは自分の体力も限界がきてしまいました。鈴鹿は自分にとってはとても難しいサーキットで、このウィークでバイクをうまくセットすることができませんでした。今シーズン通して、自分には速いバイクを作り上げる能力がまだまだ足らない事を痛感しました。
 克昭さん、柳川さん、一馬さん、という素晴らしい先輩に恵まれて、これ以上にない素晴らしい環境でのレースシーズンで、オートポリスで4位に入ることができ、それからは悔しいレースが続いてしまったのですが、開幕当初の頃からはかなり成長できたのではないかと思います。来シーズンは一馬さんと勝負できるように、シーズンオフで自分の身体作りとバイク作りに取り組んでいきたいと思います。」




釈迦堂監督のコメント

 「渡辺(一樹)と柳川をリセットしてこのチーム体制で、怪我もなく1シーズン終われたことでまずほっとしています。

 渡辺選手は、順応性もよく期待以上の成果をだしてくれました。レベルはだいぶ上がってきており、今日の第2レースなどは最後に周回遅れに阻まれるといったこともありましたが、良い周回を重ねることが出来ていましたし、本人の技術も意識も上がってきたと思います。ここまでトップ争いが出来るようになったことは、本人の頑張り、チーム力の結果です。ランキング3位は予想以上の出来で、彼をこのチームに引き入れて良かったと思います。開幕以来バイクは進化をつづけており、エンジン特性車体特性もどんどん良くなっていますが、トップ争いをするためにはまだまだ足らないところがあり、タイムがあがるほどに出てくる問題もあるので、それをクリアしていくためにはもっとテストが必要です。

 松粼選手は、ST600からのスイッチで皆が心配していました。そのなかで、オートポリスの4位入賞は本人も大変頑張ったところではありましたが、肝心かなめの鈴鹿が問題でした。私としては今の2秒以上のタイムを期待していましたし、柳川について走るように指示したのですが1ラップで離されてしまうなど、鈴鹿の経験不足が明らかで、同じ年代の濱原選手、浦本選手と比べますと、他のサーキットでは同じように戦えるところですが、鈴鹿では差がでてしまいました。松粼は昨年の1発目のテストで転倒し怪我をしてしまったことで開幕までにマシンを作り上げることが出来ず、スタートから出遅れてしまったこともあるので、これからの成長に期待をしたいと思います。

 柳川はこのレースがKawasaki Team GREENのライダーとしてのラストランでしたが、今年はレギュラーでレースに出していないのでレース勘が戻るのに時間を要しました。事前テストなど走らせる時間があればよかったのですが、チームとしてそういう体制がとれず本人には悪いことをしたと思っています。柳川はこれまで13年間チームの中心的存在として活躍してもらい大変感謝しております。」



リザルト










Race1

Pos. No. Rider Machine
1 1 中須賀 克行 Yamaha YZF-R1
2 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR SP2
3 5 野左根 航汰 Yamaha YZF-R1
4 23 渡辺 一馬 Kawasaki Ninja ZX-10RR
5 9 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
6 104 山口 辰也 Honda CBR1000RR SP2
7 71 加賀山 就臣 Suzuki GSX-R1000
8 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000
9 50 濱原 颯道 Suzuki GSX-R1000
10 88 清成 龍一 Honda CBR1000RR
11 72 高橋 裕紀 Honda CBR1000RR
12 090 秋吉 耕佑 Honda CBR1000RR
13 79 伊藤 真一 Honda CBR1000RR SP2
14 85/td>
中冨 伸一 Yamaha YZF-R1
15 32 今野 由寛 Suzuki GSX-R1000
16 18 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
17 94 浦本 修充 Suzuki GSX-R1000
18 47 上和田 拓海 Yamaha YZF-R1
19 46 松崎 克哉 Kawasaki Ninja ZX-10RR
20 62 津田 一磨 Yamaha YZF-R1


Race2

Pos. No. Rider Machine
1 1 中須賀 克行 Yamaha YZF-R1
2 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR SP2
3 23 渡辺 一馬 Kawasaki Ninja ZX-10RR
4 9 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
5 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000
6 104 山口 辰也 Honda CBR1000RR SP2
7 88 清成 龍一 Honda CBR1000RR
8 72 高橋 裕紀 Honda CBR1000RR
9 50 濱原 颯道 Suzuki GSX-R1000
10 5 野左根 航汰 Yamaha YZF-R1
11 87 柳川 明 Kawasaki Ninja ZX-10RR
12 71 加賀山 就臣 Suzuki GSX-R1000
13 090 秋吉 耕佑 Honda CBR1000RR
14 94 浦本 修充 Suzuki GSX-R1000
15 18 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
16 46 松崎 克哉 Kawasaki Ninja ZX-10RR
17 29 小島 一浩 Honda CBR1000RR
18 080 渥美 心 Honda CBR1000RR
19 34 岡村 光矩 Kawasaki Ninja ZX-10RR
20 13 中津原 尚宏 Honda CBR1000RR