全日本ロードレース選手権 第4戦




■ 2017年 全日本ロードレース選手権 第4戦 もてぎ大会
■ JSB1000
■ 開催日:2017年6月11日(日)
■ サーキット名:ツインリンクもてぎ(4.801 km)



ねばりの走行で4位入賞の♯23渡辺一馬選手

♯46松崎克哉選手はレース中に自己ベスト更新するなど大きく前進


 第4戦・ツインリンクもてぎ鈴鹿200キロに続き、スポーツランドSUGOの120マイルとセミ耐久が続いたJSB1000クラスにとっては、今シーズン初のスプリントレースとなる。予選はサバイバル方式。Q1の計時予選でトップ10台がQ2へと駒を進める。トップ3はQ2が免除され、残る4位から10位までの7台でタイムアタックして、ラップごとの最後尾ライダーがノックアウト。1台ずつ姿を消していく。Q2からQ3への挑戦権を得るのは上位3台のみ。フロントロウ、セカンドロウのグリッドがノックアウト方式で決定する。

予選とはいえ、まったく息の抜けない接戦が繰り広げられる。

 ♯23渡辺一馬選手は順当にQ1をクリアしたが、♯46松崎克哉選手はタイムアタック中にペースの遅いマシンにひっかかり目標としていた1分50秒台前半に届かず惜しくも12位とQ2に進めなかった。一方、Q2に進んだ♯23渡辺一馬選手は、1分50秒530、1分50秒404、1分50秒620と安定したラップタイムで勝ち残り、Q3への期待が膨らんだが惜しくもわずかに届かず7番手グリッドからの決勝となった。


レポート


 決勝レースがスタートする午後2時過ぎの気温は26℃。路面温度も50度を超え、サバイバル要素の強い23ラップとなることが予想された。♯23渡辺一馬選手・♯46松崎克哉選手ともにスタートを決め、オープニングラップをそれぞれ7位、10位で通過した。序盤で好調ぶりを発揮したのは♯46松崎克哉選手。2周目にこのレース最速タイム1分50秒959をマークすると、♯9藤田選手、♯50濱原選手をパスしてシングルポジションにアップした。惜しくも5周目にポジションを明け渡したが、1分51秒台前半を連発。予選からの好調ぶりをうかがわせるラップタイムで、再び逆転のチャンスをうかがう。タイムは1分52秒前半で以前、予選・ウォームアップに匹敵する速さだ。






ところがレースを折り返した17周目のヘアピンで、まさかのシフトミス。止まり切れずにオーバーランしてしまう。転倒こそ免れたが深いグラベルに足元を奪われ、コース復帰した時には19位と大きく順位を落としてしまった。それでもあきらめず完走を目指し再びペースアップ。タイヤが厳しくなり序盤ほどのペースには及ばなかったがポジションをキープしたままチェッカーを受けた。
 ホールショットで数台をかわした♯23渡辺一馬選手だったが、続く3コーナーで接触回避のためにポジションダウン。グリッド通りのオープニングラップとなった。後半でのサバイバル展開を予想していた♯23渡辺一馬選手はタイヤを酷使する無理な攻めよりもハイレベルのペースキープを選択。トップの背中が遠くなる展開にも焦ることなく1分51秒台前半で正確なラップを刻む。むしろ、後方よりコンマ数秒差で追ってくる♯104山口選手の存在を念頭に、冷静なレースマネジメントを組み立てていった。






レースを折り返しても、ポジションはグリッド通り7番手のままだったが、冷静な判断が奏功し、前を行く♯72高橋選手の背中がじわじわ大きくなってきて19周目にこれをかわし、入賞圏内の6位に浮上すると最終ラップに♯1中須賀選手が転倒。さらに#88清成選手も突然ペースダウンするなど、一気に4位に浮上してチェッカーとなった。
 惜しくも表彰台は逃したが、♯23渡辺一馬選手は18ポイントを加算してシリーズランキング2位(74ポイント)をキープ。♯46松崎克哉選手も2ポイントを獲得して計31ポイントとなった。





渡辺 一馬(4位)のコメント


「前を追いかける展開に持って行くのが難しく、後続を視野に入れてのレース展開となりました。コンマ数秒まで肉薄されましたが、最高速でアドバンテージがあるのはわかっていたので、焦ることなく冷静にレースマネジメントした結果、4位が転がり込んできたという感じです。競り合って奪い取ったわけではないので手放しでは喜べませんが、ひとつずつ積み重ねていくことも重要。取りこぼしをしないこともレースだと言い聞かせています。次戦はホームコースのオートポリスなので、アグレッシブにいきたいですね。」



松崎 克哉(19位)のコメント


「藤原コーチやメカニックさんたちのアドバイスをひとつずつクリアしていくことで、このレースウィークは着実に前進したような気がします。目標としていた予選Q2進出は逃しましたが、手ごたえを感じることができました。レースでは自分のミスで大きく後退。それでもブレーキングやアクセルワークに自信が持てるようになったウィークでした。次戦は僕のホームコース。結果をきちんと残します。」



釈迦堂監督のコメント


「このレースウィークは松崎選手の成長ぶりが目立ちました。つきっきりだった藤原コーチの教えがようやく実り、ブレーキングやアクセルワークが大きく改善。レース中に目標としていた1分50秒台をマークしただけでなく、序盤はトップ10圏内をキープするなど大きく前進しました。次戦は『自分の庭』のようなオートポリスだけに期待は膨らみます。
 さすがだなと感じたのは渡辺選手。なかなか厳しい状況下にもかかわらずポジションをしっかりキープするだけでなく、後半でのサバイバル展開にもきっちり対応。粘りの走行で4位に食い込みました。周回遅れが出てくるレース後半でも大きくペースを乱すことなく、安定した速さでシリーズランキングも2位につけています。次戦はKawasakiのホームコースなので、再びトップ争いに加われるよう準備に入ります。」



リザルト


Pos. No. Rider Machine
1 5 野左根 航汰 Yamaha YZF-R1
2 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR SP2
3 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000R
4 23 渡辺 一馬 Kawasaki Ninja ZX-10RR
5 104 山口 辰也 Honda CBR1000RR SP2
6 9 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
7 72 高橋 裕紀 Honda CBR1000RR
8 88 清成 龍一 Honda CBR1000RR
9 1 中須賀 克行 Yamaha YZF-R1
10 94 浦本 修充 Suzuki GSX-R1000
11 50 濱原 颯道 Suzuki GSX-R1000R
12 79 伊藤 真一 Honda CBR1000RR
13 71 加賀山 就臣 Suzuki GSX-R1000
14 18 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
15 25 日浦 大治郎 Honda CBR1000RR
16 85 中冨 伸一 Yamaha YZF-R1
17 60 津田 一磨 Yamaha YZF-R1
18 47 上和田 拓海 Yamaha YZF-R1
19 46 松崎 克哉 Kawasaki Ninja ZX-10RR
20 34 岡村 光矩 Kawasaki Ninja ZX-10RR