全日本ロードレース選手権 第3戦




■ 2017年 全日本ロードレース選手権 第3戦 SUGOスーパーバイク120mile耐久レース
■ JSB1000
■ 開催日:2017年5月14日(日)
■ サーキット名:スポーツランドSUGO(3.737 km)



2戦目で早くも3位表彰台をつかみ取った渡辺一馬選手

粘りの追い上げを見せた松崎克哉選手は18位

土曜日の予選が濃霧と雨で中止となり

日曜日に予選・決勝を行う変則的スケジュール


 朝から降り続けていた雨に加え、宮城の森の中にあるスポーツランドSUGOは濃霧に包まれた。競技の結果、JSB1000クラスの予選は中止。翌日日曜日の朝、30分間の計時予選でグリッドを決めることとなった。中止決定で予期せぬ時間ができたチームは、タイヤ交換と給油のピットワークのシミュレーションを繰り返し行い、翌日に備えて早めに宿泊先に引き上げた。


レポート


着実で冷静なレース運びをした渡辺一馬選手

最後尾から追い上げのレース展開でポイントを獲得した

松崎克哉選手


土曜日の予選が悪天候で順延となり、日曜日の朝30分間の計時予選が行われた。霧こそ晴れたものの、しとしとと降り続くウエットコンディションの中、渡辺一馬選手は最初の3周で1分44秒889をマーク。一方の松崎克哉選手も1分47秒088のタイムを出したところでピットインする。その後、滑りやすい路面に足元をすくわれる選手が続出し、30分間で2度の赤旗中断をはさむ荒れた予選となり、なかなか思うような組み立てでタイムアタックできない状況となってしまった。結局、渡辺一馬選手が最終ラップで1分40秒736で12番グリッド、松崎克哉選手は1分43秒248と伸ばしたものの19番グリッドとなった。







120マイル耐久レースのスタートはルマン方式。高低差約70メートル、全長3.737キロのコースを52ラップする。13時30分。いくぶん明るくなった空だったが、南西の風とともに霧雨が降り続く中、決勝レースが始まった。
 12番グリッドからスタートした渡辺一馬選手はオープニングラップで3台をごぼう抜き9位でコントロールラインを通過する。3ラップ目に8位に上がると8周目に7位に浮上、3ラップを重ね、11周目にまたひとつ順位をアップ。階段を一つずつ着実に登っていくように16周目に5位、19周目に4位、そして20周を周回したところでヨシムラのマシンをかわしてついに表彰台圏内の3番手につける。
 雨の滑りやすい環境でパッシングするのに自分のペースをキープできなかったのか、ラップタイムは1分40秒台前半から41秒と周回ごとにばらつきがあった。しかし、このレースのベストラップ・1分39秒655を12周目にマークし雨の中での速さもしっかり示している。








ピットインは27周目。コース復帰したのは4番手で、タイヤ交換をしなかった濱原選手(♯50)の後ろにつく。渡辺一馬選手の後方には、じりじりと浦本選手(♯94)が迫っていたが安定した速さでこれを寄せ付けず、むしろ15秒以上のアドバンテージを持っていた濱原選手に対しコンマ5秒〜1秒のペースで近づいて行った。残り5周を切った馬の背コーナーの進入でインをついた渡辺一馬選手がついに表彰台県内の3位に復帰。徐々にその差を広げ、3位でチェッカーとなった。


松崎克哉選手もスタートを決め、1コーナーまでに数台をパスし追い上げ体制に入ろうとしたが、SPコーナーでまさかのコースアウト。マシンを制御できずに転倒してしまう。ダメージがなかったためすぐにコース復帰したが、ポジションは最後尾の32番手となってしまう。追い上げ体制に入った松崎克哉選手は周回ごとに1台ずつかわして13周目に23位、18周目には19位までポジションを回復していた。さらに18.17.16とポジションを上げ、30周目に給油のためのピットインをしたが、タイヤ交換を行わずそのまま再びコースに復帰する。それでも33ラップ目に自己ベストの1分43秒447と気を吐き、43秒台を連発。前後のギャップが大きく単独走行になってしまったが淡々と43秒台で周回。さすがに40周を越えたあたりからペースは落ちたものの18番手で無事にチェッカーを受けた。






渡辺 一馬(3位)のコメント


「土曜の予選がキャンセルになり雨のデータ不足の中で、日曜日の予選・決勝とコマを進めるのはなかなか難しい状況でした。そんな難しいコンディションと状況の中、3位表彰台を獲得できたのは素直に喜びたいと思います。もちろん3位で満足しているわけではありません。このレースはとても冷静に展開や組み立てを考えながらレース運びができたので、厳しい戦いになるとは思いますが、次戦も優勝目指して頑張ります。」



松崎 克哉(18位)のコメント


「1周目の転倒で再開までポジションダウンした時は焦りましたが、追い上げしかないと腹をくくり冷静にレースを展開できました。ピットインでタイヤ交換しなかったのは予想外でしたが、チーム判断では正しかったと思います。ピットアウト後もタイムはアップしたしポジションも少しずつですがアップ。18位ながらも2戦連続で完走することができました。次戦はもう少し前のところで競り合うレースをしたいと思います。応援よろしくお願いします。」



釈迦堂監督のコメント


「渡辺選手本人は3位という結果に納得できていないとは思いますが、2戦目にして表彰台を獲得したことは高く評価しています。初戦で確かな一歩を踏み出し、2戦目で大きな一歩を残せただけに今後も大いに期待できると思います。松崎選手はウエットコンディションを苦手にしていないだけにちょっと期待していましたが、思わぬ落とし穴で最後尾まで後退。それでも追い上げのレース展開で学んだことは多かったと思います。次戦以降につながる走りだったので、これからますます面白い存在になるはず。ぜひ応援して下さい。」



リザルト


Pos. No. Rider Machine
1 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR SP2
2 5 野左根 航汰 Yamaha YZF-R1
3 23 渡辺 一馬 Kawasaki Ninja ZX-10RR
4 50 濱原 颯道 Suzuki GSX-R1000R
5 94 浦本 修充 Suzuki GSX-R1000
6 9 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
7 79 伊藤 真一 Honda CBR1000RR
8 090 秋吉 耕佑 Honda CBR1000RR
9 18 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
10 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000R
11 39 酒井 大作 BMW S1000RR
12 16 児玉 勇太 BMW S1000RR
13 25 日浦 大治郎 Honda CBR1000RR
14 47 上和田 拓海 Yamaha YZF-R1
15 080 渥美 心 Honda CBR1000RR
16 85 中冨 伸一 Yamaha YZF-R1
17 42 中村 知雅 Honda CBR1000RR
18 46 松崎 克哉 Kawasaki Ninja ZX-10RR
19 34 岡村 光矩 Kawasaki Ninja ZX-10RR
20 43 須貝 義行 Aprilia RSV4 RF