全日本ロードレース選手権




■ 2017年 全日本ロードレース選手権 第2戦 鈴鹿2&4
■ JSB1000
■ 開催日:2017年4月23日(日)
■ サーキット名:鈴鹿サーキット(5.821 km)



移籍後、いきなりの5位入賞を獲得した渡辺一馬選手

松崎克哉選手も初のJSB1000で完走・15位をつかみとった

ひとつの目標だった2分6秒台をマークした渡辺一馬選手

転倒を喫しながらも巻き返しが期待される松崎克哉選手


 今シーズンから新体制となったKawasakiTeamGREEN。26歳の若さながら世界耐久レースにも参戦経験を持つ渡辺一馬選手(26歳)をエースに迎え、もう一人の若手ライダーにJSB1000クラスへの参戦は初めてとなる21歳の松崎克哉選手を起用した。二人のライダーは年末から事前テストを繰り返してきたが、実戦レースは初めてで、レースウィークに入ってからもなお、細かな調整を行いながらタイムを削ってきた。金曜日の練習走行では渡辺一馬選手(#23)が、2回目のセッションで2分7秒380をマーク。松崎克哉選手は周回ごとにタイムを縮めていき2分10秒580で走行を終えた。
 70台に迫ろうというエントリー台数のため、土曜日の予選はA・Bふたつのグループに分かれての計時予選形式。渡辺一馬選手・松崎克哉選手ともにBグループで走行を開始したが、松崎克哉選手が1周目のMCシケインで転倒。すぐにコース復帰して、再びアタックを開始したもののアグレッシブなライディングが影を潜め、目標の9秒台に届かず23番手からのスタートとなった。
 渡辺一馬選手は前半で7秒台に入れるとピットイン。残り5分を切ったあたりで最終アタックに臨み、2分6秒817と目標の一つだった6秒台に入れ、4番手グリッドを獲得した。


レポート


荒れたレース展開の中で落ち着いたレース運びを見せ

渡辺一馬が5位入賞 松崎克哉選手も15位完走ポイント獲得

好天に恵まれたレースウィークだったが、この日がその中でもベストコンディションとなった。快晴、西寄りの微風が吹く中、決勝レースが行われた。「200km耐久」はルマン方式のスタートで、およそ5.8キロのコースを35周する。午前10時15分レースアナウンサーのカウントダウンで始まったレースで、見事なスタートを見せホールショットを奪ったのは渡辺一馬選手だった。ところが、オープニングラップをトップで通過してレースを引っ張って行こうとしていた矢先、スプーンコーナーでアクシデントが発生。コース上にパーツやグラベルの土が散乱し、セーフティーカー(SC)が導入される。さらにペースダウンした隊列走行中にも最終コーナーで転倒車両が発生するなど、荒れたレース展開となった。アドバンテージがゼロとなった渡辺一馬選手は、レース再開後は2分8秒台のアベレージで、野左根選手、津田選手を従えて2位グループを形成する。







慎重なスタートを切った松崎克哉選手は30位前後までポジションを落としたが、SCの導入で冷静さを取り戻し、SC退去後は周回するたびに前を行くライダーをパス。2分12秒台からペースをあげ、たちまちスタートグリッドの23位まで挽回する。レースラップは2分11秒台をキープ。12ラップ目にはこの日のベスト2分10秒828をマーク。その後11秒台のアベレージをキープして周回した。


耐久レースならではのピット作業のサインが先に出されたのは渡辺一馬選手。当初のプランでは松崎克哉選手を先にピットインさせる予定だったが、前後がクリアで安定したラップタイムを刻む松崎克哉選手のペースを維持するために、急きょピットインの順番を入れ替えたのだ。








渡辺一馬選手は、前後タイヤの交換とガスチャージを終えると約15秒で戦列復帰。残り10ラップで渡辺一馬選手は3番手をキープ。藤田選手、山口選手と表彰台争いを展開していた。周回遅れを挟みながらもラップタイムは2分9秒台前半。惜しくも27ラップ目にポジションを譲り渡したが、Ninja ZX-10RRでの初レースを5位入賞という好成績で終えた。


19周目にピットに戻ってきた松崎克哉選手は、タイヤ交換を行わず8秒弱のピットワークで再びピットを後にした。残り10ラップで15位までポジションアップした松崎克哉選手だったが、交換していなかったタイヤの影響かペースキープが厳しくなり、32ラップ目に15位に後退。それでも残り4ラップをまとめ上げ、そのままチェッカーとなった。






渡辺 一馬(5位)のコメント


「ほっとしているけれど、悔しいですね。ミッションの一つだった上位完走は果たせましたが、まだまだNinja ZX-10RRのキャラクターを引き出すまでには至っていません。驚くほどのパワーをどう生かせるのか、マシンの性能にどうアジャストしていくのか課題はたくさん見つかりました。これからです。でもその課題がはっきりしたのも全力を出して完走したから。そこは自分でもほめていいのかなと思います。いずれにしても目指すは優勝。そのポテンシャルは十分あることが分かったレースでした。」



松崎 克哉(15位)のコメント


「事前テストの段階から柳川明コーチにいろんなアドバイスをいただき、自分なりに消化してきたつもりですが、肝心のレースでそれを十分生かすことはできませんでした。予選でいきなり転倒したのもよくなかった。積み上げてきたものが、あれで停滞した感じ。レースでもスタートに失敗して焦りましたが、その分追い上げのレースを経験することができました。マシンを信用して、もっとアグレッシブに行けるよう、菅生までにもう一度ライディングを磨いてきたいと思います。」



釈迦堂監督のコメント


「渡辺にしろ松崎にしろ、初めてのことだらけで多くを望むことはしませんでした。とくに松崎選手には完走してデータと自信を獲得することが重要で、結果は重要視していませんでした。惜しむらくは2分9秒台をマークしてほしかったのですが、今後のレースに期待します。渡辺選手は大きなプレッシャーの中、きちんと結果を残し、滑り出しとしては上出来だと思います。ひとつの目標だった2分6秒台にも計時予選で達成。表彰台こそ逃しましたが、焦ることなくひとつずつ課題をクリアしていけば、近い将来、結果はついてくると思います。新生KawasakiTeamGREENを応援よろしくお願いします。」



リザルト


Pos. No. Rider Machine
1 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR SP2
2 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000R
3 9 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
4 104 山口 辰也 Honda CBR1000RR SP2
5 23 渡辺 一馬 Kawasaki Ninja ZX-10RR
6 50 濱原 颯道 Suzuki GSX-R1000R
7 090 秋吉 耕佑 Honda CBR1000RR SP2
8 39 酒井 大作 BMW S1000RR
9 85 中冨 伸一 Yamaha YZF-R1
10 95 生形 秀之 Suzuki GSX-R1000
11 080 渥美 心 Honda CBR1000RR
12 18 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
13 34 岡村 光矩/マーク・アチソン Kawasaki Ninja ZX-10RR
14 13 関口 太郎 Honda CBR1000RR
15 46 松崎 克哉 Kawasaki Ninja ZX-10RR
16 57 日浦 大治郎/安田 毅史 Honda CBR1000RR
17 71 加賀山 就臣 Suzuki GSX-R1000
18 83 石塚 健/柴田 陸樹 Kawasaki Ninja ZX-10R
19 16 児玉 勇太/武石 伸也 BMW S1000RR
20 20 寺本 幸司 BMW S1000RR