全日本ロードレース選手権 第8戦 岡山大会レポート




■ 2016年 全日本ロードレース選手権 第8戦 岡山大会
■ JSB1000
■ 開催日:2016年9月25日(日)
■ サーキット名:岡山国際サーキット(3.703 km)



孤軍奮闘の渡辺が、レース1で3位表彰台を獲得


レポート


熊本・大分を襲った地震の影響で、オートポリスでの開催レースがキャンセルとなったため、第6戦の岡山国際サーキット・JSB1000クラスは、土日の2レース開催となった。土曜日の予選はノックアウト方式。Q1の計時予選の結果が第1レース(土曜日)の決勝グリッドとなり、トップ10によるQ2の結果が日曜日第2レースのグリッドとなる。その岡山国際サーキットに柳川選手の姿はない。事前テストでハイサイド転倒を喫し、エントリーを取りやめ、最終戦に向け治療に専念することとなった。一人奮闘する渡辺選手は午前9時半から行われた計時予選で1分29秒889をマーク。Q2進出を決めると同時に、レース1の6番手グリッドを獲得した。トップ10によるQ2のアタック時間は15分。1分29秒665とQ1のタイムを更新したもののポジションは変わらず。2列目6番グリッドからのスタートとなった。







【レース1 土曜日 晴れ】


 午後3時過ぎ。真夏を思わせる日差しの中、24ラップのレース1はスタートした。オープニングラップのポジションはグリッド通りの6番手。それでもすぐに加賀山選手(#71)をかわして5位に浮上。2位グループの後方、高橋選手(#634)の背後でレースを組み立てていく。5ラップ目から8ラップまでは1分29秒台を連発。8周目には1分29秒473のベストラップをマークすると、高橋選手とのギャップも1.4秒差まで接近。11周目にこれをかわすと、わずかコンマ2秒差に迫った津田選手(#12)に肉薄する。すぐにでも津田選手をパスしたかったが、野左根選手(#7)と津田選手がデッドヒートを繰り返す様子を渡辺選手はじっと観察しながら周回を重ねていった。


展開が動いたのはレース後半の19周目。裏ストレートで渡辺選手が野左根選手をパスして3位に浮上。その勢いで津田選手に迫るが、ライン取りが微妙に違うためになかなかパッシングできない。コーナーで追い詰めるも、ラインが交錯。一騎打ちの攻防が続く。それでもなおあきらめない渡辺は、バックマーカーをうまく処理しながら津田選手に並びかけ、ラスト5ラップは前半と変わらぬ1分30秒台前半を連発したもののわずかに及ばず3位でチェッカーとなった。








【レース2 日曜日 雨】


 ぽつぽつと雨が落ちはじめる中、サイティングラップが行われたが、転倒車両が出たため赤旗中断となり仕切り直しとなった。遅れることおよそ30分。ウェット宣言が出され、全車ともにスリックタイヤからレインタイヤに履き替えてのレースとなった。周回数は2周減算の22ラップ。雨は依然、止まず。そんな中レースはスタートしたが、オープニングラップからコースアウトやオーバーランが続出した。

 渡辺選手は1周目を11番手で通過したもののなかなかペースを上げられず、津田選手(#12)に次ぐ14番手で序盤のレースを戦うことになった。いったん小やみになったように思えた雨は5周目あたりから再び雨脚が強くなり、コース上に川状の水の帯が出現。この雨量の多さに対して選んだタイヤがうまくマッチングしなかった渡辺選手は、序盤から我慢のレースとなる。転倒リスクを抱えながらも1分52秒台をキープしつつ徐々にペースアップを図り、中盤では1分51秒台にいれ、10周目には1分50秒台と苦心惨憺しながらペースアップを図った。

 折り返しとなる11周目のポジションは13番手ながら、この日のベストラップ1分50秒663をマーク。津田選手の背後にぴたりとついてパッシングの機会をうかがい、15ラップ目に前に出る。さらに渡辺選手は数秒先に見える加賀山(#71)に迫り、19周目にこれをとらえると11番手までポジションを回復。1分52秒台でアドバンテージを築いていき、そのまま11番手で苦しいレースを完走した。








渡辺 一樹(3位/11位)のコメント


 レースウィークに入ってマシン調整も順調で、思い通りのレース展開ができると臨んだ岡山国際でしたが、金曜日の転倒で少しリズムが狂ったかもしれません。予選の1時間もセットアップに費やさざるを得ない状況になり、時間を有効に使えなかったことが悔やまれます。それでもレース1は、それなりの戦いができたと自負しています。3位ながら表彰台も獲得できたこともプラス。もちろん2位グループの前に行くチャンスもポテンシャルもあっただけに悔しいですけどね。

 レース2はタイヤチョイスと急転した天候がうまくかみ合いませんでした。転倒しないように完走するのがやっとで、レースをしたという感覚がありません。どれだけ雨が降ってもバンクセンサーを一度も使うことなくレースを終えた記憶はありません。それでも敗因の理由がはっきりしているので、気持ちを切り替えて最終戦に臨みます。期待して下さい。




釈迦堂監督のコメント


 フリー走行での転倒で少し足踏みしましたが、時間の制約がある中で、渡辺はいいパフォーマンスを見せてくれたと思います。土曜日のレース1では、周回数を重ねてもなおラップタイムが落ちることなくキープ。冷静なレースマネジメントで、表彰台をつかみとったことはトップライダーとしての証。次戦につながる内容のあるレースとなりました。一方、レース2に関しては雨脚が弱くなると判断したチームのジャッジが裏目に出てしまいました。加えてヘビーレインコンディションでのセットが甘い部分が露呈。転倒のリスクを抱えたまま我慢のレースになりました。ただし、敗因が明確なので立て直しもシンプル。最終戦鈴鹿での2レースはこの借りを返します。




リザルト


Race 1

Pos. No. Rider Machine
1 1 中須賀 克行 Yamaha YZF-R1
2 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000L6
3 26 渡辺 一樹 Kawasaki Ninja ZX-10R
4 7 野左根 航汰 Yamaha YZF-R1
5 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR
6 104 山口 辰也 Honda CBR1000RR
7 15 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
8 85 中冨 伸一 Yamaha YZF-R1
9 32 今野 由寛 Suzuki GSX-R1000
10 72 高橋 裕紀 Honda CBR1000RR
11 39 酒井 大作 BMW S1000RR
12 71 加賀山 就臣 Suzuki GSX-R1000
13 34 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
14 14 武石 伸也 BMW S1000RR
15 17 吉田 光弘 Honda CBR1000RR
16 20 小島 一浩 Honda CBR1000RR
17 66 筒井 伸 Honda CBR1000RR
18 99 吉田 和憲 Yamaha YZF-R1
19 37 樋口 耕太 Suzuki GSX-R1000L3
20 18 中津原 尚宏 Honda CBR1000RR


Race 2

Pos. No. Rider Machine
1 104 山口 辰也 Honda CBR1000RR
2 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR
3 1 中須賀 克行 Yamaha YZF-R1
4 72 高橋 裕紀 Honda CBR1000RR
5 14 武石 伸也 BMW S1000RR
6 15 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
7 85 中冨 伸一 Yamaha YZF-R1
8 34 近藤 湧也 Yamaha YZF-R1
9 39 酒井 大作 BMW S1000RR
10 32 今野 由寛 Suzuki GSX-R1000
11 26 渡辺 一樹 Kawasaki Ninja ZX-10R
12 71 加賀山 就臣 Suzuki GSX-R1000
13 135 児玉 勇太 BMW S1000RR
14 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000L6
15 18 中津原 尚宏 Honda CBR1000RR
16 21 須貝 義行 Aprilia RSV4
17 090 秋吉 耕佑 Honda CBR1000RR
18 17 吉田 光弘 Honda CBR1000RR
19 99 吉田 和憲 Yamaha YZF-R1
20 35 古澤 幸也 BMW S1000RR