2016 All Japan Road Race Championship




■ 2016年 全日本ロードレース選手権 第2戦 鈴鹿2&4
■ JSB1000
■ 開催日:2016年4月24日(日)
■ サーキット名:鈴鹿サーキット(5.821 km)



耐久レースから始まった開幕戦。柳川選手は2年ぶりとなる表彰台獲得

渡辺選手もトラブルを克服して8位完走


レポート


開幕戦がいきなりの耐久レース。しかも200Km耐久と聞いて、懐かしさを感じるロードレースファンも多かったはずだ。鈴鹿8時間耐久レースの前哨戦として、全日本ロードレースに組み込まれていたのは、もう13年前となる。およそ5.8キロの鈴鹿サーキットを35ラップ。途中、給油作業やタイヤ交換など各チームのピット作業もこのレースの見どころとなる。また、今シーズンから8時間耐久レースへの参戦レギュレーションが大幅に変更された。昨年度上位20位以内のチームにはシード権が与えられるが、実績のないチームにとっては上位10位以内に入ることが8耐参戦の条件となる。
 この開幕戦にチームグリーンが投入した新型Ninja ZX-10Rは、ワールドスーパーバイクに参戦しているファクトリーマシンから多くの機能性能をフィードバックしている。強大なパワーを生み出すパワーユニットのほか、IMU搭載で左右・上下方向の加速度とロールを測定するなど マシンコントロールが大幅に改善された。さらにECUにKawasaki独自のプログラムを搭載して電子制御性能を向上。いきなりの実戦配備に、内外の注目を一手に集めた。

決勝のスタートは午後0時45分。 サーキットアナウンサーがリードするカウントダウンでルマン方式のスタートでレースが始まった。4番手スタートの柳川は一人かわして3番手で1コーナーをクリア、渡辺選手はグリッド通りの7番手につける。2ラップ目に入ると柳川がホームストレートエンドでトップに立ち、そのまま1コーナーへ。2ラップ目のコントロールライン通過時は3番手になったものの上位3台はテールトゥーノーズ状態。その後トップ3は津田、柳川、中須賀の3選手がパッケージとなりセカンド集団と徐々に差 を広げ始める。ポジションアップに苦しんでいたのは渡辺選手だ。ペースの上がらない加賀山選手をとらえ、さらに山口選手の前に出で6位までポジションアップしたのは7ラップ目だった。ホールショットをうばった高橋巧選手をとらえて11周目に5位に浮上すると周回遅れが出始めた15ラップ目には野佐根選手をとらえ、4位までポジションアップした。ここまでのラップタイムは2分8秒台後半と想定より遅いペースだった。

トップ3のバトルは序盤から中盤まで続く。津田選手がトップを走行し、中須賀、柳川のパッケージになって続く。柳川選手のラップタイムは2分8秒前半。最高速は常時300キロを超え、スプーンカーブから続く裏ストレートでは何度も上位2台に並びかけるなどプレッシャーを与え続けた。ちなみにこのレースでの最高速は308.2キロで柳川選手がトップ。決勝レース中300キロに達しなかったのは、1ラップのみだった。14周目に津田選手がシケインで仕掛けるが、アウトにはらんでしまい中須賀、柳川両選手が前に出る。周回遅れを挟んだバトルがここから始まり、柳川選手も7秒台で食らいついていくが、トップに立った中須賀選手 は自由なライン選択が可能で、ギャップを埋めるのに苦労する。

ピットインのタイミングが迫ると4位までポジションアップしていた渡辺選手が18周目にルーティンのピットイン。ところがここでトラブルが発生する。フロントタイヤの作業に手間取り30秒以上もかかってしまった。これで渡辺選手は大きく順位を下げるが、その後じわじわ巻き返し8番手までポジションを回復した。


 2ラップの間隔をおいて柳川選手もピットイン。しかし、ここでも18秒を要し、コンマ4秒差しかなかった津田選手とのギャップが6秒以上と広がる。再び追い上げ体制に入り、2分7秒後半をマークしながら、再び追い上げ体制に入った柳川選手だったが、30ラップに突入したとき最終コーナーで転倒車両が発生し、赤旗中断。レギュレーションによりレースは成立となり、柳川選手は2014年オートポリス以来の3位表彰台、渡辺選手は8位で2016年開幕戦を終えた。



柳川 明(3位)のコメント

 「久しぶりの表彰台に喜んでばかりもいられませんが、まずは初戦の結果を残せたことにホッとしています。振り返ると電子制御満載のNew ZX-10Rに対してライダーの僕がどこまでアジャストできるのか を考えながらのウィークでした。レース後半でも300キロオーバーをコンスタントに出せるパワーユニットに 加え、制御系のポテンシャルの高さを感じることができました。まだまだ隠されている潜在能力をライダーとメカニックで協力して引き出し、次戦はワンツーフィニッシュを狙います。」



渡辺 一樹(8位)のコメント

 「待望のNew ZX-10Rでしたが、レース前の準備不足からセットアップさえもままならず、バイクとのマッチングに手こずりました。感覚的に言うと「初顔合わせの状態」でレースに臨んだようなもので、強大なパワーユニットも電子制御もうまくコントロールできないまま決勝レースが スタート。ペースアップもできず不本意なポジションでのレースとなりましたが、なにより結果を残すことが最優先と我慢の走行でチェッカーとなりました。準備しなおして再挑戦します。」



釈迦堂監督のコメント

 「満を持してのNew ZX-10R開幕戦でしたが、レースウィーク前のテストデータ収集が思うように進まなかったことと、レース中の不測のトラブルで思 うような結果につながりませんでした。それでも、柳川選手がまず表彰台を獲得するなど、収穫は大きかったと思います。またレース中ほとん どのラップで300キロオーバーの驚異的な速さを示すなど、ワールドスーパーバイクのDNAを引き継ぐNew ZX-10Rのポテンシャルの高さを確認。伸びしろの幅はまだまだあるので、今回入手できたデータをもとに次戦以降は本来の強さを見せつけたいと思います。」




リザルト


Pos. No. Rider Machine
1 1 中須賀 克行 Yamaha YZF-R1
2 12 津田 拓也 Suzuki GSX-R1000L6
3 87 柳川 明 Kawasaki ZX-10R
4 7 野左根 航汰 Yamaha YZF-R1
5 104 山口 辰也 Honda CBR1000RR
6 71 加賀山 就臣/浦本 修充 Suzuki GSX-R1000
7 634 高橋 巧 Honda CBR1000RR
8 26 渡辺 一樹 Kawasaki ZX-10R
9 49 渡辺 一馬 Honda CBR1000RR
10 32 今野 由寛/ジョシュア・ウォーターズ Suzuki GSX-R1000L5
11 15 藤田 拓哉 Yamaha YZF-R1
12 90 秋吉 耕佑 Honda CBR1000RR
13 72 高橋 裕紀 Honda CBR1000RR
14 39 酒井 大作 BMW S1000RR
15 50 ディマス・エッキー・プラタマ Honda CBR1000RR
16 83 コーリー・ターナー/マーク・アチソン Yamaha YZF-R1
17 19 寺本 幸司 BMW S1000RR
18 44 関口 太郎 Honda CBR1000RR
19 22 出口 修/井筒 仁康 Kawasaki ZX-10R
20 18 中津原 尚宏/小林 龍太 Honda CBR1000RR