日本クラシックカー協会 会報誌

当社の販売促進部部長が、日本クラシックカー協会様の会報誌に、オイルにまつわる話を寄稿しています。
今回特別にこのブログをご覧の方にもご紹介します。今回のテーマは「トラック・バス用オイル」です。






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オイル・色々ばなし−37
《トラック・バス用オイル》


大分長い間お休みをいただいてしまったことをお詫びいたします。また、心も新たに頑張って書いていこうと思います。
さて、当社の親会社、フランスのトタル社では乗用車や二輪車の潤滑油ばかりではなく、トラックやバス用の潤滑油も幅広く、開発・製造・供給し、ヨーロッパ大陸ではこの分野のマーケットリーダーとなっています。当社・トタル・ルブリカンツ・ジャパンでも先進の技術で開発されたオイルを日本に提供すべく、つい最近より営業活動を始めました。
トラック・バス用のエンジンオイルといえば、当然ディーゼルエンジンオイルとなりますが、開発におけるチャレンジ性は乗用車用オイル以上のものがあり、興味を引きます。例えば、燃料によるオイルへの要求性能があります。日本とヨーロッパが似ているのはこの点で、西ヨーロッパの先進国-ドイツ・フランス・イギリス・ベルギー・オランダなどでは、硫黄(S=Sulfur)分が10PPM以下に制限されていて、これは日本と同じで、非常に高品質な燃料となっています。これはオイルにも低硫黄であることを要求し、硫黄は通常重要な摩耗防止成分であることから、オイルの設計に重大な影響を及ぼします。また、ディーゼルエンジンの環境性能を高める後処理装置(DPF・触媒)もオイル中の特定成分がその寿命を縮めるため、少なくすることが求められます。低燃費、出力の増加を考え、ターボチャージャー装着エンジンが多いのも、オイルに対して熱への強さを要求します。
とまあ、こういう具合でオイルに求められる性能は、日本とヨーロッパでは実は似通ったものがあります。日本ではJASO(日本自動車技術会規格)、ヨーロッパではACEA(欧州自動車工業会規格)があり、環境対応型ヘビーデューティディーゼルエンジンオイルの規格は近似といえます。
当社が日本に輸入したオイルは、トタル・ルビア TIR8900 FE 10W30(トラック・バス用のオイルはエルフではなく、トタルのブランドで販売しています。)といい、ACEAの規格や欧米のトラックメーカーの承認を取得しているほか、日本のJASO規格のDH-2も取得しています。ディーゼルエンジンオイルではまだ珍しい全化学合成油で、オイル交換サイクルを大幅に延長できる耐久性を持っています。実際、前回触れた、ANAC(オイル分析による、エンジン診断システム)で他社製品との比較をしたところ、他社製品が、1万キロ程度の走行でオイル粘度が30番から20番のSAEグレードにドロップしているのに対し、3万キロ走行してもほとんど変化せず、さらにより長く使用できることが読み取れました。もし、大型のバスやトラックをお持ちの方がいらっしゃいましたら、お試しいただきたいと思います。




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